2010年12月25日

酷い間取り

最近、パワービルダー系の上場企業の決算が好調のようです。

パワービルダーとは、2000万円〜4000万円内の低価格の土地付き建物を売りにした新築分譲業者のことを言います。
なるべく土地を小さく分譲し、その上に規格品の家を乗せていく。
土地は小さくすれば小さくするほど売値が低く抑えられるので、25坪以下の土地に25坪前後の家が主力商品です。
ですので、駅に近い場所などでは、18坪前後の土地に30坪の家を乗せるなんていうのもザラです。

建物は、規格品なので選択の余地はありません。
その代わり、驚くほど安い。
30坪の家を800万円で建てるほどです。

しかし、その低価格競争は、とどまることを知りません。

つい最近、鎌倉市大船駅最寄で、2980万円の新築分譲住宅が売りに出され、着工前に瞬く間に完売しました。また、茅ヶ崎市では、2380万円(税込)の新築分譲住宅が普通に売りに出されています。
これらの価格競争に勝つタメには、とにかくコストカット。一棟一棟住みやすさなどを考える暇はどこにもありません。

土地は出来るだけ小さく・・・
法に触れるギリギリの分譲・・・
建物は、平面重視。(仕上がり度外視)
日当たりは、無視。
駐車場は入れば良い。乗り入れの悪さは関係ない。
生活導線?なにそれ。
外装はサイディングのワンパターンで。

通常、家を建てる上で重視しなければいけない部分を、どんどんと削ぎ落とす。
そんな家が、金太郎飴みたいに建ちまくってる。

当社の建売をバックアップしてくれている建築家「伊藤誠康」氏の師匠にあたる泉幸甫先生は、著書でこんな事を仰っています。

「土地は、一つとして同じものは無い。形が同じでも景色・風・交通量・騒音・隣接地の変化の憶測etc、様々な要素が全て異なる。設計を行う上で大事なのは、その土地がどういう土地かをしっかりと把握する事。すくなくとも丸一日、その土地に佇んで見ると良い。」

建築家は、設計の段階で足しげくその土地に足を運びます。
朝はどういう日が入って、昼の風通しはどうで、夜の雰囲気はどうなのか?
周囲の土地に、将来どういうものが建つ可能性があるか?

それを全て加味して、建物のラフプランを考え、設計に取り組んでいくわけです。
それほどまでに、建築というモノは、繊細なんです。

そのあるべき作業が、今の建売住宅には、どこにも無い。
(注文住宅にも無いところが多いかな?)

我々業者間には、業者間広告というものがあります。
会員登録をしれば、同地域で売り出される新規物件が、販売図面として配布されるんですね。
毎週送られてくるそれら図面を見ると・・・、正直言って同業者として目を覆いたくなるものばかり。

お客様は、まず価格で選びます。
そして、完成を見ずに、建築前に契約をしてしまう。
案内を受けた仲介業者に「今、申し込まないと明日には売れてしまう。選んでる暇なんて無いですよ。」とか言われて・・・。

完成を見たとき、一体どういう心境で我が家を見るのでしょうか?


私は、今のこの状況をかなり深刻に受け止めています。
買う側は、素人です。
図面を見ても、それが良いのか悪いのか解りません。


例えば、こんな玄関を良く見ます。
(図は私の殴り書きです。汚くてすみません)
bad_madori3.jpg

玄関を入って、階段が奥にある。
廊下巾は、壁真で91cmなので、実際は78cm程度。
その細い廊下が折れている。

階段がこんなに奥にあるのは、そもそもNGですが・・・
その上、廊下が迷路のように折れているなんて・・・
日中でも薄暗いこの廊下を毎日行ったりきたりするんですか?

しかも周り階段は6段。
急な階段に、狭く曲がりくねった廊下。

ゾッとします。


例えば、こんなフロアを良く見ます。
bad_madori.jpg

階段を上がって、踊り場が一間(畳み一畳分)
そこに各部屋のドアが集中している。

日々の生活に圧迫感を与えます。
登ってきた人と部屋から出てきた人がカチ合って危険じゃないですか?

完成したら、窓が無くて、暗いんでしょうね。


例えばこんなリビングを良く見ます。
bad_madori2.jpg

LDK11帖。
キッチンスペースを3.5帖とすると、のこり7.5帖。
リビング5帖としてもダイニングで2.5帖ですか・・・(^^;)
というより、これ、冷蔵庫どこに置くんでしょう?
食器棚は?

家具を置いたら、狭くて住めませんね。

LDK14帖という表記も多いですが、一見すると「14帖は広いな〜」と思うかもしれません。
しかし、部屋は導線が必要です。
人が行き来するスペース。
そして、家具を置く。

それらを考えると、よっぽど考え抜いた間取りじゃないと、日々の生活に苦しみます。


こんな間取りの家でも・・・
買った人が満足していれば、別に私が文句を言う筋合いではありません。

でも、「しまった!騙された!」と思っている人が居るとしたら・・・
やはりほっとけないんですよね。(^^;)
実際に、これらの家を買った人に会って話を聞いたわけではないので、なんともいえませんが・・・


お客様に言いたいこと。

やはり買う前にしっかりと見る目を養って欲しい。
それには、いっぱい完成した家を見ること。

図面だけじゃとても難しいんです。
騙されやすい。
でも・・・
多くの完成物件見て、それを平面図と照らし合わせてみることで、構想力が身に付きます。
それも出来る限り多く見て欲しい。

働きながら、子育てしながらじゃ大変でしょうけど・・・・
何千万という借金を背負って、一生をそこに住むわけですから。

住みづらい家を買ってしまい日々の生活に苦しむ事を考えれば、10や20ぐらい見るはなんでもないはずです。


posted by はるお at 11:13 | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。